無事に商標登録が済んで安心していませんか?
商標登録後の行動こそが大事になってきます。
商標登録後は、次の3つを意識することが大事です。
・登録商標の使用の仕方
・商標であることの表示
・更新申請の期限日
この記事を読めば、商標登録後に意識すべき点を理解することができます。
是非、最後までお読みくださいね。
登録商標と同一の商標を使用しよう
登録商標を使用しないことのリスク
登録商標を使用しないことによる最大のリスクは、他人に不使用取消審判を請求されて商標登録が取り消されてしまうことです。

商標が取り消されることなんてあるの?
商標を継続して3年以上使用しないと、法律上、他人による取り消し請求が可能になります。
ですので、「審査に合格してよかった」の次は「商標を積極的に使っていこう」です。
商標権者は、商標公報(商標法第18条)に掲載された商標と同一の商標(登録商標)を使用すべきです。


ただし、商標を使っていなかったからといって、突然、不使用取消審判が請求されるのはレアケースです。
大抵は、まず、登録商標を不使用の指定商品・指定役務に使用したい者から商標権者に連絡があります。
社会通念上同一の商標
経済活動を行う上で、登録商標と完全に同一の商標を使用することは案外難しいです。
そこで、『社会通念上同一』であると認められる、多少の変更は許されています。
例えば、以下の場合は「社会通念上同一」に該当します(商標法第38条第5項)。
商標権者が、故意に、類似範囲で使用した結果、商品・役務について品質の誤認を生じさせ、又は、他人の業務に係る商品・役務と混同を生じさせる行為は、取消審判の対象になります(商標法第51条)。
多少の変更がOKとはいえ、登録商標を変更して使用することはなるべく避け、同一の商標を適正に使用するようにしましょう。
商標的態様で使用しよう
商標的態様とは
商標的態様とは、商標として認識される態様です。
商標は、自己の商品・サービス(役務)と他人の商品・サービス(役務)とを識別する識別標識です。
商品やサービス(役務)の提供の際に同一の商標を使い続けることにより、自他商品・役務の識別力を前提として、出所表示機能、品質保証機能、宣伝広告機能という商標の3つの機能が発揮されます。


しかし、商標が一般名称のように使用され続けると、需要者や取引者は商標が一般名称であると誤認してしまいます。
最悪は、商標が普通名称になってしまいます。
普通名称化による弊害
商標が普通名称になってしまった場合、商標の機能は発揮されず、業務上の信用も蓄積されていきません。
商標が一般名称、あるいは品質を表すものになってしまうと、誰もが使用できるようになってしまいます。
商標権を持っていたとしても、他人による商標の使用を差し止めることができません(商標法第26条)。
商品・サービス(役務)を一般名称で示した上で、登録商標は必ず商標的に使用するように心がけましょう。
すなわち、登録商標は商品・サービス(役務)の出所を表示するように使用しましょう。
商標登録表示を心掛けよう
商標登録表示は、他人に商標が登録商標であることを認識させる手段として有効です。
また、商標を一般名称化から防ぐ手段として有効です。
以下は表示方法の例です。
Rマーク(Ⓡ)は、アメリカ特許商標庁登録商標を表しています。
つまり、「Ⓡ」はアメリカで登録されている商標を示すマークです。
しかし、Rマークは日本でも登録商標を示すマークであると認識されていますので、登録商標を示す表示として有効です。
他人による商標の使用行為を止めよう
商標権の侵害
登録商標に係る商品・役務について他人による登録商標の使用は、商標権を侵害する行為です。
商標権者は、登録商標について同一・類似の範囲で他人による使用がないか、常に警戒すべきです(商標法第25条、第37条1号)。
他人による使用を発見した場合、相手に対して早急に警告等を行うべきです。


相手が登録商標の存在を知らない場合でも知っている場合でもとにかく類似品の流通をいち早く止めるためです。
商標の侵害行為を放置してしまうと、登録商標を知っている需要者、取引者が商品・サービス(役務)を商標権者のものであると勘違いしてしまいます。
その場合、商標権者が得られたであろう利益が失われます。
また、侵害品の品質が低い場合やサービスの質が悪い場合には、登録商標の信用が下がってしまいます。
侵害者に対して商標権者ができること
商標権が侵害されている場合は、侵害者に対して商標の使用を差し止めることができます(商標法第36条)。
金銭的な損害が発生している場合には損害賠償請求が可能です(民法第709条、商標法第38条)。
商標の使用の差し止め請求や損害賠償請求は裁判所に行います。個人では難しいので弁護士に依頼しましょう。


業務上の信用の毀損が明らかな場合、相手方に対し、信用回復措置をとることができます(商標法第39条、特許法第106条)。
信用回復措置とは、新聞や業界紙等で謝罪広告を掲載する等の措置です。
他国への輸出、他国からの輸入に対しても、税関に輸入差止申し立てを行うことができます。
商標権の存続期間を更新しよう
登録商標の情報を管理しよう
商標権は、半永久的な権利とはいえ、5年や10年の区切りがあり、更新手続きが必要です。
5年、10年というのは短いように思えても実際は途方もない時間です。



必ず忘れてしまいます・・・
そこで、アプリを使って登録商標の情報や更新日などを管理することをお勧めします。


エクセルやスプレッドシートなどのアプリに商標、出願日、登録日、登録番号、存続期間満了6月前の日、存続期間満了日を記入しておくと良いです。
複数の商標権を保有しているなら、エクセルで管理するとわかりやすいです。
存続期間満了6月前の日や存続期間満了日などの大事な日付は、GoogleカレンダーアプリやiPhoneのカレンダーアプリに予め入力しておきましょう。
カレンダーへの入力の際には、自分に通知が来るように設定しておくと良いです。




その他、「Yahoo!カレンダー」、「シンプルカレンダー」、「Microsoft To Do」など、自分の管理しやすいアプリを使うと良いです。
LINE通知を使うのもアリです。
1つのアプリに絞らずに、複数のアプリに通知の設定をしておきましょう。
商標権の存続期間を更新できる期間
商標権は、登録の日から5年間または10年間存続し、更新手続きを行うことで権利を半永久的に存続させることができます。



ご自身か、あるいは弁理士が商標権の存続期間の管理を行います。
商標権の存続期間の更新登録の申請は、商標権の存続期間の満了前6月から満了の日までの間に行います。
登録日:2023年6月30日(登録料は10年分を一括納付)
存続期間満了6月前:2032年12月31日(12月30日の次の日が6月前に該当します)
更新申請期間
存続期間満了日:2033年6月30日
更新申請期間は5年間または10年間のうちの6ヶ月間だけです。
この期間以外の申請は原則できません。
しかし、特許庁から存続期間が満了する旨の連絡はありません。
まずは権利が消滅する存続期間満了日がいつになるかを把握し、合わせて更新申請期間も把握しておきましょう。
個人で更新手続きを行う場合は書面で特許庁に申請することになります。
書面で更新申請する場合は電子化手数料が別途掛かりますので忘れずに納付しましょう。


更新申請期間を過ぎてしまった場合
更新申請期間を過ぎてしまったとしても、「満了日の翌日から6ヶ月以内」に限り、権利を更新することができます。
ただし、更新登録料に加えて「同額の割増登録料」を納付する必要があります。



同額の割増登録料⁉️
つまり、通常の更新登録料の2倍の額を払います。
更新料は登録料よりも値段が高いですので、忘れずに更新申請期間に申請したほうが良いです。
・登録商標と同一の商標を使用することで商標の不使用となる事態を回避する。
・商標的使用態様で商標を使用することで商標が一般名称化することを回避する。
・商標登録表示を行うことで、登録商標であることを他人に認識させる。
・他人による商標権の侵害を発見したときは速やかに使用の停止を申し入れ、場合によっては差し止め請求や損害賠償請求などで対応する。
・登録商標の情報はアプリで管理する。
・商標権の更新登録の申請は、商標権の存続期間の満了前6月から満了の日までの間に行う。
・更新申請期間を過ぎても更新登録は申請できるが、同額の割増登録料の支払いが必要になる。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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