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はじめまして。ジメツといいます!

このページでは日本国内での「個人での商標登録のやり方」を何処よりもわかりやすく、丁寧に、初心者の方でも全く問題ないように解説します。

商標登録とは、商標を使用する商品やサービスについて、誰よりも早く願書を特許庁に提出して出願料を払い、審査に合格した後、登録料を納付することで、商標が特許庁に登録されること、です。

一見簡単そうですが、商標登録のために最低限やらなければならないことは多々あります。

しかし、すごく難しいわけでもありません。

記事の通りに進めていけば、最も簡単に願書を特許庁に申請できます。

個人で商標登録を申請してみたい方、弁理士費用を抑えたいという方は是非チャレンジしてみてください。

なお、商標登録を保証するものではありませんので、その点はご承知おきください。

この記事の目次

【STEP0】まずは全体の流れを把握しよう

準備から登録まで、おおまかに6個のステップを行います。

【STEP1】出願する商標、商品・サービスの種類を決定する
  
【STEP2】指定商品・指定役務を決定する
  
【STEP3】同一または類似の商標が登録されていないかを調査する
  
【STEP4】願書を作成する
  
【STEP5】願書を特許庁に提出する
  
【STEP6】合格通知が届いたら登録料を納付する

この中で、大変で難しい作業は【STEP2】と【STEP3】です。

この2つのステップはまさに弁理士の仕事の部分です。

しかし【STEP3】までクリアできれば、商標登録出願の8割は終わっています。

ジメツ

願書の作成が終わっていないのに?

商標登録は、願書を作成するための「準備」が8割なんです。

準備さえできれば、あとは願書に必要事項を記載し、願書を特許庁に提出するだけとなります。

【STEP1】商標と、商標を使う商品・サービスを決定しよう

商標登録は、商標と、商標を使う商品・サービスと、がセットになって申請が可能です。

まずはどの商標を出願するのか、その商標を使用する商品やサービスは何なのかを把握しましょう。

出願する商標の決定

商標は、会社名、会社のロゴ、マーク、オリジナルの商品名、ネーミング、サービス名などを表示するものです。

商標は、自分(自社)が取り扱う商品・サービスと他人(他社)のものと区別するための識別標識です。

出願予定の商標の見た目はどんな感じですか?

おおまかに、商標が以下のどの種類に該当するかを把握します。

・文字のみの商標
・図形の商標(文字を含む図形、文字を図形化したものなど)
・立体商標(3次元的な物体)
・動き商標(アニメーションのような動き)
・ホログラム商標
・色彩のみからなる商標(色だけで構成されるもの)
・音商標
・位置商標(ジーンズのポケットなどの決められた位置)

商標が複数ある場合、商標をいくつ出願するかも決めます。

願書を特許庁に提出した後に商標を修正したり変更したりすることはできません。

現在使っている商標や、今後使用する予定の商標を出願しましょう。

商標に識別力があるかどうかを確認しよう

「商標の識別力」とは、自分(自社)の商標が目印として機能するものかどうかを表します。

識別力は、【有る/無い】のどちらかで審査されます。

「商標に識別力が無い」と審査官に判断されると、審査で拒絶されてしまいます。

「商標に識別力がない」という理由で商標登録出願の約20%が拒絶されています。
(2023年4月特許庁)

以下の左欄の6パターンは識別力が無いと判断される基準です。

左欄に該当しないかどうか、右欄の例で確認してみてください。

その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標(例1)一般的な名称
・商品「サニーレタス」について、商標「サニーレタス」
・商品「電子計算機」について、商標「コンピュータ」
・役務「美容」について、商標「美容」

(例2)略称
・商品「スマートフォン」について、商標「スマホ」
・役務「損害保険の引受け」について、商標「損保」
・役務「航空機による輸送」について、商標「空輸」

(例3)俗称
・商品「塩」について、商標「波の花」
その商品又は役務について慣用されている商標(例1)文字や図形等からなる商標
・商品「自動車の部品、付属品」について、商標「純正」、「純正部品」
・商品「カステラ」について、商標「オランダ船の図形」

(例2)色彩のみからなる商標
・役務「婚礼の執行」について、商標「赤色及び白色の組み合わせの色彩」
・役務「葬儀の執行」について、商標「黒色及び白色の組み合わせの色彩」

(例3)音商標
・商品「焼き芋」について、商標「石焼き芋の売り声」
・役務「屋台における中華そばの提供」について、商標「夜鳴きそばのチャルメラの音」
商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格
又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
(例)
・商品「香水等の化粧品」について、商標「ワイキキ」
・商品「コーヒー、コーヒー飲料」について、商標「GEORGIA」
・産地・販売地として商標「東京牛乳」
・商品「コーヒー、紅茶等」について、商標「ササっと」
・役務の提供の場所として商標「高野山」
など(例はすべて審決・判決例)
ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標・同種の氏又は名称が多数存在するもの(佐藤、鈴木等)
・著名な地理的名称(「日本」、「東京」、「薩摩」、「フランス」等)
業種名(「工業」、「製薬」、「製菓」、「放送」、「運輸」、「生命保険」等)
・商号や屋号に慣用的に付される文字や会社等の種類名(「商店」、「商会」、「屋」、「家」、「社」、「堂」、「舎」、「洋行」、「協会」、「研究所」、「製作所」、「会」、「研究会」等、「株式会社」、「有限会社」、「相互会社」、「一般社団法人」、「K.K.」、「Co.」、「Co., Ltd.」、「Ltd.」等)
極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標・数字
・ローマ字1字又は2字
・ローマ字の2字を「-」で連結したもの
・仮名文字1字
・仮名文字のうち、ローマ字の1字の音を表示したもの
・ローマ字と数字を組み合わせたもの(A2、AB2、2A、A2B)
・1本の直線、波線、輪郭として一般的に用いられる記号(▽等)
・球、立方体、直方体、円柱、三角柱等の立体的形状
など
上記の他に、識別力がないもの・指定商品若しくは指定役務の宣伝広告、又は指定商品若しくは指定役務との直接的な関連性は弱いものの企業理念・経営方針等を表示する標章のみからなる商標
・単位を表示するもの(「メートル」等)
・元号を表示するもの(平成、令和等)
・国内外の地理的名称を表示するもの
・取扱商品の産地等を表示するもの
・地模様からなるもの
・店舗等の形状からなるもの
・店名として多数使用されているもの(指定役務「アルコール飲料を主とする飲食物の提供」について、商標「さくら」、「愛」、「純」、「ゆき」、「ひまわり」、「蘭」)
など
商標審査基準〔改訂第15版〕より抜粋

商標法では他人のために提供する便益(サービス)のことを「役務(えきむ)」と言います。
「役務=サービス」と考えてOKです。

のみからなる」は、他の単語や図形等と組み合わせたり特殊文字等に装飾することで商標全体として「のみからなる」に該当しなくなる場合があります。その場合は識別力があります。

左欄の6パターンに該当しなければ、商標に識別力があると考えてよさそうです。

識別力の判断は審査官次第なところもあります。
識別力の有無を争った裁判も多数あります。

識別力の有無の判断が心配な方は日本弁理士会の無料相談や特許事務所の無料相談等を受けてみるのも良いです。
ただし、弁理士に「識別力がある」と判断されても、審査官に「識別力が無い」と判断されることがあります。

商品・サービスの決定

商標が決まったあとは商標を使用する商品やサービスを決めます。

現在使用中あるいは使用予定の商品名やサービス名を挙げていきましょう。

「商品名」は、商品そのものの名前ではなく、商品の種類です。
「えびせん」ではなく「菓子」が商品名です。

商品名の例
・アクセサリ
・スマートフォン用ケース
・レモンスカッシュなどの清涼飲料水
など

アクセサリであれば、指輪、イヤリング、ネックレスなどの具体的な種類を挙げておくと良いです。

指定商品を検索するときに役に立つ可能性があるからです。

「サービス名」も同じく、サービスそのものの名前ではなく、サービスの種類です。
「中華食堂」ではなく「飲食店」がサービス名です。

サービス名の例
・カフェ
・通訳
・おもちゃを仕入れてネット販売
など

これで、商標と、商品名・サービス名が決まりました。

将来、事業に発展しそうな商品名やサービス名も挙げておくと良いです。
あらかじ出願に含めることができるかもしれないからです。

【STEP2】商標を使用する指定商品・指定役務を選ぼう

次は、願書に書くための「指定商品・指定役務」を設定します。

「指定商品」、「指定役務」は商標登録出願の願書の項目名です。

指定商品・指定役務の記載は、審査の対象であり、商標権の権利範囲を決めるものです。

指定商品・指定役務の記載が不適切だと、審査で拒絶されてしまいます。

・「商品・サービスの記載が不明確」という理由で商標登録出願の約40%が拒絶されています。
・「広範囲な商品・サービスを指定している」という理由で商標登録出願の約15%が拒絶されています。
(2023年4月特許庁)

コツは、特許庁が定めた「類似商品・役務審査基準」の記載の中から選ぶことです。

自作の指定商品名・指定役務名を根拠として拒絶される可能性が無くなります。

指定商品名・指定役務名を自作する必要がないので、指定商品名や指定役務名であれこれ悩む必要が無くなります。

自分の商品名・サービス名に該当するものを類似商品・役務審査基準の中から探しましょう。

具体的には以下のように探します。

J-PlatPatで探す方法

J-PlatPat】にアクセスし、商標の「商品・役務名検索」のページへ移動します。

検索キーワードの商品・役務名に商品名あるいはサービス名を入力して検索します。

たとえば「アクセサリ」と入力して検索します。

44件がヒットしました。

アクセサリが指輪、イヤリング、ネックレスのことを指しているとすると、「商品・役務名(日本語)」には「指輪、イヤリング、ネックレス」という直接的な表記は無いようです。

そこで、検索キーワードの商品・役務名に「指輪」を入力して検索してみます。

42件がヒットしました。

「指輪」が含まれた商品名が多数あるようです。

区分をみると圧倒的に「14」という区分が多いので、指輪は第14類に含まれる可能性が高いです。

同じくイヤリングとネックレスを検索してみると、区分は第14類のようです。

これで指定商品名が決まったわけではないです!

次に特許庁の【類似商品・役務審査基準】にアクセスし、最新の分類のページに移動します。

区分の第14類のPDFファイルを開きます。

「指輪」で文字検索すると、指輪は四角い黒枠で囲まれた「身飾品(「カフスボタン」を除く。)」に含まれることがわかりました。

業界では四角い黒枠を「短冊」って呼んでいます。

身飾品(しんしょくひん)は指輪を含む概念です。

身飾品には「イヤリング」と「ネックレス」も含まれていることがわかります。

つまりアクセサリは、第14類の「身飾品(「カフスボタン」を除く。)」となります。

指定商品を「指輪」、「イヤリング」、「ネックレス」という具体名としても良いですが、「ネクタイピン」などの他のアクセサリは権利範囲に含まれなくなります。

ジメツ

他人が商標を「ネクタイピン」に使ったときに、他人に対して商標権侵害を主張することができません。

ですので、特許庁が定めた黒枠の記載を指定商品とするのが良いです。

黒枠の下に書かれている「指輪」などは一例ですので、黒枠の下に書かれていないからといって身飾品に該当しないと決めつけてはいけません。

誰が見てもおしゃれを目的として使用される装飾品であれば、身飾品に該当します。

出願後に商品やサービスを願書に追加することはできません。

たとえば「指輪」だけを願書に記載して出願したあとに「ネックレス」を補正で追加することはできません。
もし追加したい場合は同じ商標について「ネックレス」を願書に記載した出願をする必要があります。

類似商品・役務審査基準の黒枠の表記は特許庁が定めた文言ですので、商品・サービスの記載が不明確だとか、広範囲な商品・サービスを指定しているという拒絶理由で拒絶されることがありません。

指定商品「身飾品(「カフスボタン」を除く。)」の類似群コード(21A02)もチェックしておきます。

類似群コードは黒枠の中の右側に記載されています。

類似群コードは、似ている商品・サービスに付けられた5桁の英数字です。

【STEP3】で先行登録商標を調べるときに使います。

図形商標の場合は類似群コードを使うと商標調査が楽になります。

似ている商品・サービスには同じ「類似群コード」が付いています。

たとえば第26類の「腕章」の類似群コードも「21A02」です。

つまり「身飾品(「カフスボタン」を除く。)」と「腕章」は商品が類似します。

スマートフォン用ケースは第9類の「携帯情報端末」(類似群コードは「11B01、11C01」)、レモンスカッシュなどの清涼飲料水は第32類の「清涼飲料」(類似群コードは「29C01」)に該当します。

1つの商品・サービスに複数の類似群コードが付いている場合や、複数の商品・サービスに1つの類似群コードが付いている場合があります。

カフェは第43類の「飲食物の提供」(類似群コードは「42B01」)、通訳は第41類の「通訳」(類似群コードは「42S01」)に該当します。

「おもちゃを仕入れてネット販売」する行為はいわゆる小売業、卸売業に該当します。

小売りや卸売りは第35類の「〇〇の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に該当します。

J-PlatPatの商品・役務名検索で「おもちゃ」を検索すると937件もヒットしました。

区分を第35類に絞って検索してみます。

すると70件に減りました。

さらにデータ種別(検索範囲)を類似商品・役務審査基準のみに限定して検索します。

検索結果は1件になりました。

つまり「おもちゃを仕入れてネット販売」は類似商品・役務審査基準の第35類の「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(類似群コードは35K14(24A01 24B01 24B02))となります。(括弧内の類似群コードは減縮補正後の類似群コード)

自分の商品名やサービス名が類似商品・役務審査基準のどの区分のなんという名称であるかを調べるのは結構難しいです。

商品・サービスに関する言葉でアタリを付けていくしかないです。

商品名やサービス名を一般化して表現してみることは、検索の助けになります。

現在使っている商品やサービスの他に、将来使用する予定の商品やサービスも含めておくと良いです。

インターネットで探す方法

J-PlatPatでの検索だけでなく、Google検索してみても良いです。

ジメツ

「こういう商品なら第〇類」というような記事や、それぞれの区分を解説した記事がたくさんあります。

たとえば、もしカフェでテイクアウトをしている場合は商品も検討する必要があります。

J-PlatPatで「飲み物」で検索すると第30類と第32類がヒットしました。

そういえば清涼飲料が第32類でした。

飲料は1つの区分ではなく、複数の区分に分かれているようです。

そこでGoogleで「飲み物 指定商品」で検索してみました。

検索結果から、飲料の区分は第29類から第33類までの5つの区分にまたがっていることがわかりました。

Google検索しただけで区分のアタリを付けることができました。

あとはテイクアウトに該当する飲み物の区分と商品名を選定すればOKです。

J-PlatPatはデータ量が多いですが検索のやり方が難しいので、Google検索でラフに検索してからJ-PlatPatで詳細に調べてみるのも良いです。

登録例を参考にする方法

別の調べ方として、知っている登録商標を検索し、その登録商標の指定商品・指定役務の区分を見ることで区分や指定商品・指定役務のアタリを付けることもできます。

「my twilight」というアクセサリを取り扱うショップを探してみます。

J-PlatPatの商標の商標検索のページに移動します。

「称呼(単純文字列検索)」に「マイトワイライト」と入力して検索すると、1件ヒットしました。

まさに「my twilight」という登録商標です。

「登録6450737」のページを開き、「(511)(512) 【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】 【類似群コード】」の欄を見てみます。

すると、第14類、第18類、第25類、第35類の4区分を指定していることがわかります。

J-PlatPat(商標登録第6450737号)より引用

第14類には「身飾品、貴金属製靴飾り、時計」が指定されていました。

その他、主力製品である第18類の「かばん類」など、第25類の「被服」などが指定されています。

さらに第35類の小売・卸売が指定されており、オンラインショップでの販売にも商標を使用していることがわかります。

ちなみに、この出願当時の法区分は平成23年法、国際分類版表示は第11版が適用されています。

J-PlatPat(商標登録第6450737号)より引用

この記事が公開されたときの、国際分類版表示の最新版は第12版です。

公報で区分を調べたときは、必ず最新版の区分に商品・サービスが掲載されているかを確認します。

商標公報で指定商品や指定役務を調べるときは、どの年(どの版)の類似商品・役務審査基準に従っているかに注意します。

商標公報の国際分類版表示に「第○版」と書いてあります。
商標公報の版が古い場合、最新の版の区分や類似群コードと合致するかどうか、区分が移動していたら最新の区分はどこなのかを必ず確認しましょう。
商標公報に「第△類」と書いてあっても、最新の版では「第□類」に移動していることがあります。

このように、既に登録されている商標を検索してみると、どの区分にどんな指定商品・指定役務を指定しているのかを調べることができます。

出願予定の商標に関連する業界の登録商標を調べてみるのも参考になります。

広範囲の指定商品・指定役務を指定している場合

1つの区分で類似群コードの数が23個以上

1つの区分内の指定商品や指定役務が決定したとして、類似群コードが23個以上になってしまう場合があります。

この場合は広範囲の商品・サービスを選択していると判断され、拒絶理由(商標法第3条第1項柱書違反)が通知されます。

ジメツ

そんなにたくさんの商品・サービスに対して本当に商標を使うの?(使う予定あるの?)と疑われてます。

類似群コードは類似商品・役務審査基準の黒枠内の5桁のコードの数を数えていきます。

例えば、第30類の「茶」は「29A01」の1つですから、類似群コードの数を1個カウントします。

「茶」の下には「コーヒー」と「ココア」の2つが一つの黒枠内に書かれていますが、類似群コードは共通の「29B01」です。

この場合は1個の類似群コードをカウントします。

ですので、第30類として「茶」、「コーヒー」、「ココア」を指定した場合は指定商品の数は3つですが、類似群コードの数は2個となります。

たとえば第30類の指定商品の類似群コードは全部で24個あります。

仮に、第30類のすべての指定商品を指定した場合は類似群コードが23個以上になり、拒絶理由が必ず通知されます。

小売サービスを複数選んでいるとき

小売サービスの類似群コードは「35K〇〇」で表されます。

小売サービスはもともと1つの指定役務の中に既に多くのサービスが含まれています。

ですので、指定役務が「35K△△」や「35K◇◇」というように類似群コードが2個以上になる場合はそれだけで広範囲の指定役務を選択していると判断されて拒絶理由が通知されます。

拒絶理由の回避方法

あらかじめ拒絶理由を回避するためには、以下の方法をとります。

・指定商品・指定役務の数を減らし、出願前に類似群コードの数を22個以下にしておく
・「商標の使用を開始する意思」の書面を提出する
・「事業予定」の書面を提出する

「商標の使用を開始する意思」の書面や「事業予定」の書面は、願書とは別の書類として用意します。

書面は願書と同時に提出することが好ましいです。

書面は出願後でも提出できますが、審査が始まってしまう前に提出したいので出願後2か月経過する前までに提出しておいたほうが良いです。

出願してから後日これらの書面を提出する場合、書面を単体で提出するのではなく、【物件提出書】という書類を用意して物件提出書とセットで提出します。

【STEP3】出願予定の商標と同一または類似の商標が既に登録されているかどうか調べよう

【STEP1】、【STEP2】で商標と指定商品・指定役務が決まりました。

次は出願予定の商標や類似の商標が既に登録されているかどうか、商標調査をします。

つまり他人の先行登録商標の中に、自分の商標と同一または類似のものがあるかどうかを調べます。

自分の商標と他人の先行登録商標との関係が、上の表の「×」に該当する場合は商標登録を受けることができません。

たとえば、商標が同一で指定商品が類似の場合は「×」であり、商標が類似しています。

つまり、商標登録はできません。

商標の類似は、外観(見た目)、称呼(呼び方)、観念(意味)の3つの総合判断です。

審査の段階では、外観・称呼・観念のどれか1つでも同一・類似だと、商標が類似していると判断されます。

商標が非類似であり、指定商品・指定役務が非類似であれば、他人の先行登録商標とは非類似です。
商標登録が可能です

商標が同一・類似でも、指定商品・指定役務が非類似の場合、商標登録が可能です。

指定商品・指定役務が同一・類似でも、商標が非類似の場合、商標登録が可能です。

商標調査では、以下のことがわかります。

・自分の商標が登録できるかどうか(商標登録の可能性)
 →上の表の「登録可」かどうか

・もし自分の商標を使用したら他人の商標権を侵害してしまうかどうか(権利侵害の可能性)
 →上の表の「×」に該当するかどうか

商標調査の結果、自分の商標が登録できなさそうだとしても、商標を変更したり、商標を使用する商品やサービスを変更すればよいです。

しかし、知らずに他人の登録商標を使ってしまったら、知らなかったでは済みません。

警告を受け、損害賠償請求されてしまいます。

ですので、他人の先行登録商標と同じあるいは類似かどうか、しっかりと調査します。

類似する他人の先行登録商標があるという理由で商標登録出願の約35%が拒絶されています。
(2023年4月特許庁)

もし、他人の先行登録商標が見つからなければ、商標登録の可能性が高まります。

商標調査は、以下の3段階で進めていくのが良いです。
・インターネット検索
・民間のAI検索サービスでの検索
・特許庁のJ-PlatPatでの検索

この中のJ-PlatPatだけで商標調査しても全然OKです。

インターネット検索

インターネット検索は出願予定の商標が世の中で使われているのかを手っ取り早く調べることができます。

自分の商標を決めたときに、既にインターネットで同じ商標が使われていないかどうかをご自身で調べているかもしれません。

その場合は改めてインターネット検索する必要は無いです。
とはいえ、以前調査してからかなり時間が経過していたら、念のため調べてみてはいかがでしょうか。
もしかしたら、わずかの差で誰かが先に使っているかもしれないです。

たとえば【Google】や【Yahoo! JAPAN】などの検索エンジンで出願予定の商標を検索します。

商標が図形の場合はGoogleの画像検索を利用します。

何かヒットしましたか?

同じ商標がヒットした場合、既に誰かに使われている可能性が高いです。

ジメツ

つまり、商標登録は難しいかもしれません。

既に商標登録されていて、使用すると権利侵害してしまう可能性もあります。

既に使われているけれど、商標登録されていない可能性もありますので、J-PlatPatでの調査が必要です。
(識別力が無い、という理由でそもそも商標登録できない商標として広く使われている可能性もあります。)

同じ商標がヒットしなかった場合、誰にも使われていない可能性が高いです。

ジメツ

自分が使える可能性、自分が商標登録できる可能性が高いだけであり、確定ではないです。

検索したとき、似たような商標がヒットしたかどうかもチェックしておきましょう。

もしかしたら、類似の商標かもしれません。

X(旧Twitter)、Instagramなどのソーシャルメディアで検索してみるのも良いです。

民間のAI検索サービス(Toreru商標検索)での検索

次に【Toreru商標検索】を使って検索してみます。

「Toreru商標検索」のトップページより引用

Toreru商標検索は株式会社Toreruが運営する無料の商標検索サービスです。

「テキスト検索」と「画像検索」の両方の検索ができます。

まずはカテゴリ(区分)を指定せずに検索してみましょう。

テキスト検索の結果が「おめでとうございます!」だった場合は同じ商標が登録されていない可能性が高いです。

「Toreru商標検索」の検索結果画面より引用

つまり、商標登録できる可能性が高いです。

でも確定ではないので、可能性が高いという程度に認識しておきましょう。

同じ商標が既に登録されている場合は「同一の商標」が表示されます。
この場合は商標を使用するカテゴリ(区分)を選択して再検索してみましょう。
区分が異なる場合は同じ商標でも登録できるからです。

同じ商標ではないけれど、似たような商標が登録されている場合は「関連可能性の高い商標」が表示されます。

類似の可能性がありますので、関連性が高い商標もチェックしておきましょう。

特許庁データベース(J-PlatPat)での検索

これまでの検索結果を踏まえ、特許庁の【J-PlatPat】で仕上げの検索を行います。

インターネットやToreruでヒットしなかったとしても、既に商標登録されている可能性が残っているからです。

もちろん最初からJ-PlatPatで検索を始めてもOKです。

J-PlatPatのデータベースはリアルタイムで更新されているわけではありません。
出願・登録などのデータが反映されるまでに約1か月のタイムラグがあります。

検索した日からさかのぼって1か月くらいの間に出願・登録などがなされた商標はヒットしません。
データが反映されない期間の商標は、誰も調べることができません。

文字商標の調べ方

検索例(温泉がある宿泊施設を営業している)

・商標は「虹色の湯」

・指定役務は第43類の「宿泊施設の提供」(類似群コードは「42A01」)

「虹色の湯」がホテルなどのサービスとして出願・登録されているか調べる。

検索のコツは称呼(単純文字列検索)で全角カタカナ検索することです。

特許庁は先行登録商標に「称呼(参考情報)」を勝手に付けています。

何通りも読めそうなものには、特許庁は可能な限り読み方を付けています。

ですので、「称呼(単純文字列検索)」は、漢字検索可能な「商標(検索用)」で検索する場合よりもヒットしやすいです。

調査の目的は他人の先行登録商標を見つけることですので、なるべく検索に引っ掛かったほうが良いです。

ではまず、商標の称呼(単純文字列検索)に商標の全角カタカナ「ニジイロノユ」を入力して検索してみます。

検索結果は0件でした。

称呼(読み方)が完全に一致する登録商標は無いようです。

次に、部分検索をします。

ワイルドカード(半角の「?」)を使うと、部分一致検索ができます。

商標の称呼(単純文字列検索)に「ニジイロ?」と入力して検索してみます。

104件ヒットしました。

この中から商品・サービスが類似の商標を、類似群コードを使って検索します。

検索項目の「類似群コード」に「42A01」を入力して再検索してみます。

指定役務が類似する商標が5件に絞られました。

商標は「にじいろ保育園」、「にじいろ保育ルーム」、「虹色こまち」、「大森にじいろ保育園」、「AXISにじいろ保育園」です。

商標の外観(見た目)、称呼(読み方)、観念(意味)はすべて異なります。

「虹色の湯」はこれらの商標とは非類似の可能性が高いです。

続いて「〇〇の湯」で近いものがあるかどうか調べてみます。

商標の称呼(単純文字列検索)に「?ノユ」と入力して検索すると、685件もヒットしました。

類似群コードに「42A01」を入力して再検索すると244件ヒットしました。

「?ノユ」は文字数が少なすぎて商品・サービスを限定しても検索結果が多いです。

そこで「〇〇色の湯」で近いものがあるかどうかを調べるために、商標の称呼(単純文字列検索)に「?イロノユ」と入力して類似群コードを削除して検索してみます。

すると「〇〇色の湯」という商標が3件ヒットし、指定商品が第3類と第5類でした。

さらに類似群コードに「42A01」を入力して再検索すると、検索結果は0件でした。

これらの調査から、商標「虹色の湯」、指定役務「宿泊施設の提供」と同一・類似の商標は登録されていないようです。

こんな感じで出願予定の商標と同一・類似の商標が既に登録されていないかどうかを調べます。

図形商標の場合でも文字が含まれている場合は同様に文字を打ち込んで検索します。

図形商標の場合でも、図形部分に識別力が無いと判断されると、文字同士で商標が同一または類似であると判断されることがあるからです。

検索結果が0件だった場合、文字が同一の商標は登録されていないです。

図形商標の調べ方

たとえば下の図形商標を検索してみます。

検索例(炎に包まれたバスケットボールの図形をコップに印刷して販売する)

・商標は以下の図形商標(文字を含まないイラスト)

・指定商品は「食器類」(類似群コードは「19A03」)

図形商標に類似商標があるか調べる。

J-PlatPatの商標の「図形等分類」のページを開きます。

図形等分類照会とキーワード検索の2つがありますが、キーワード検索が圧倒的に簡単です。

キーワード検索を選択します。

「バスケットボール」と入力して検索してみると、検索結果は0件でした。

「バスケットボール」ではボールの種類が狭すぎたようなので、「ボール」で検索してみます。

4件ヒットしました。

この中ではNo.2とNo.3が近そうです。

No.2の「21.3.1」をクリックすると図形等分類の該当箇所にジャンプします。

「21.3.1 フットボール及びその他のボール、シャトルコック」をクリックすると上の図形等分類に反映されますので、「商標検索にセット」をクリックします。

すると、図形等分類に「21.3.1」が入力された検索画面が別タブに表示されます。

その検索画面の類似群コードに「19A03」を入力して検索すると4件ヒットし、登録済みの商標は3件でした。

商標は3つのどれにも似ていないようです。(出願中の1件にも似ていませんでした。)

図形分類等のページに戻り、「21.3.1.01 フットボール及びその他のボール」について調べてみます。

図形等分類に「21.3.1.01」を反映し、「商標検索にセット」を押し、検査画面の類似群コードに「19A03」を入力して検索します。

338件がヒットしました。

この中の登録商標から自分の商標と同じか似ているものがあるかを探してみます。

どうやら似たものは無さそうです。

図形等分類表のページで複数の分類番号をクリックして商標検索にセットすると、同時に複数の分類を検索することができます。

「21.3.1 フットボール及びその他のボール、シャトルコック」、
「21.3.1.01 フットボール及びその他のボール」
の2つを同時に検索してみると、検索結果は340件がヒットしました。

調査の結果、同一・類似の先行登録商標は無いと判断して問題なさそうです。

図形等分類照会でも検索してみましょう。

細分化図形等分類表(大・中・小分類表)の中から図形商標の全体像に近いものを選択します。

バスケットボールはスポーツ用品ですので「21.娯楽用具、玩具、スポーツ用品、回転木馬」を選択します。

「21.3.スポーツ用品、回転木馬」を選択すると、詳細な項目が表示されます。

この中では「21.3.1.01 フットボール及びその他のボール」が一番近いと思いますので、これを選択します。

図形等分類に「21.3.1.01」が自動で入力されますので、「商標検索にセット」のボタンをクリックします。

ここから先はキーワード検索と同じように、類似群コードに「19A03」を入力して検索します。

以上の検索から、同一・類似の先行登録商標は無いと判断して問題なさそうです。

図形商標を眺めていると、本当なら色が付いているはずなのに白黒になっている商標があります。

これは、あえて色を付けないことで権利範囲を広くしています。

たとえば本物は赤色なのに、色を青色に変更すると外観(見た目)が変わってしまい、商標が同一・類似じゃないと判断される可能性が無いとは言えないのです。
つまり色を付けずに白黒で登録することで商標類似の範囲を広げ、他人にどんな色が使われても権利侵害であると主張できるようにしているのです。

自分の商標調査の結果が不安でしたら、日本弁理士会の無料相談に行ってみると良いです。

その際には、判断材料として検索でヒットした商標を持っていくと良いです。

ついでに識別力なども弁理士に判断してもらいましょう。

調査の結果、他人の先行登録商標と同一または類似だった場合

調査の結果、自分の商標が他人の先行登録商標と同一または類似だったら、商標登録は難しいです。

どんなに気を付けて商標を選択したとしても、自分の商標に近いものは世の中にあるものです。

対策は以下の3つです。

・商標を変更する
・指定商品・指定役務を変更する
・他人の先行登録商標をもらう、借りる、消滅させる

商標を変更する

商標が同一または類似だった場合、この商標を使うことは危険です。

他人の商標権を侵害してしまうからです。

思い切って別の商標に変更するのがよいです。

これが一番確実です。

指定商品・指定役務を変更する

商標が同一または類似だとしても、指定商品・指定役務が非類似であれば商標登録できます。

指定商品・指定役務が非類似となる商品・サービスに変更することが考えられます。

しかし、商品・サービスがあっての商標、という場合がほとんどです。

商品・サービスを変更できない場合はやはり商標を変更したほうがよいです。

他人の先行登録商標をもらう、借りる、消滅させる

これらは個人で商標登録を成功させる範疇を超えていますので簡単に解説します。

他人の先行登録商標をもらう=商標権を無償譲渡あるいは有償譲渡してもらうことで、「他人の」先行登録商標ではなくなり、類似の商標は登録できます。

別の方法として、いわゆるアサインバックという方法で商標権を他人から自分に移して「他人の」先行登録商標ではなくすという方法もあります。

さらに別の方法として、他人が商標を継続して3年以上使用していなければ商標権を消滅させることができますので、消滅させたあとに自分が出願申請することができます。これは自分の商標登録までに数年の時間が掛かります。

他人の先行登録商標が見つかった場合は他人との間でやりとりをしようとせず、商標や指定商品・指定役務を変更するほうが得策です。

【STEP4】願書を作成しよう

【STEP3】までの作業によって、商標と指定商品・指定役務を準備することができました。

願書に必要な出願人情報を用意し、願書を作成していきましょう。

以下では、願書の書き方を説明します。

願書のひな形をダウンロードしよう

願書のひな形を工業所有権情報・研修館のウェブサイトからダウンロードします。

https://faq.inpit.go.jp/industrial/faq/search/result/10939.html

「1.願書等様式(通常出願)」の「(1)通常出願」の商標のファイルをダウンロードします。

文字のみの場合(標準文字)は、右側の商標のワードファイルをダウンロードします。

図形の場合は左側の商標のワードファイルをダウンロードします。

左右の違いは【標準文字】の欄があるかないかです。

1つの出願には1つの商標しか記載できません。

複数の商標を出願する場合は商標ごとに願書を用意します。

願書の各項目を埋めよう

願書に以下の情報を記載していきます。

・整理番号
・提出日
・商標登録を受けようとする商標
・指定商品・指定役務
・出願人の識別番号(付与されていれば)
・出願人の住所又は居所
・出願人の氏名又は名称
・出願人が法人の場合は代表者の氏名

【書類名】(必須)

【書類名】の欄は必須です。

この欄が願書に記載されていない場合、出願日が認定されません。

【整理番号】(任意)

自分で出願を管理する番号です。

整理番号の字数は10字以下で設定します。

ローマ字(大文字のみ)、アラビア数字もしくは「-」(負記号)またはそれらの組み合わせからなる記号で記録します。

例・・・JP001、TM2023001、JT-110902など

整理番号が無い、整理番号で出願を管理しない、などの場合は【整理番号】の欄は不要です。

【提出日】(任意)

願書を提出する日付です。

和暦で「令和◯年◯月◯日」と記載します。

提出日を書きたくない場合は【提出日】の欄は不要です。

提出日が出願日になるわけではないです。

【あて先】(必須)

【あて先】の欄は必須です。

「特許庁長官殿」と記載します。

商標登録を受けようとする商標(必須)

【STEP1】で決定した商標を、【商標登録を受けようとする商標】の欄の下に書きます。

文字商標の場合

【商標登録を受けようとする商標】の欄の下に商標を記載します。

商標の下に「【標準文字】」の欄を設けます。

「【標準文字】」の欄の右側には何も書きません。

図形商標の場合

【商標登録を受けようとする商標】の欄の下にイメージデータを貼り付けます。

8cm×8cmの中に商標を表示します。

商標の下に「【標準文字】」の欄を設けてはいけません。

【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】(必須)

指定商品や指定役務が複数ある場合は「,」(カンマ)で区切ります。

商品及び役務の区分が2以上ある場合は、欄を繰り返し設けます。

【商標登録出願人】(必須)

【識別番号】(任意)

初めて商標登録出願する場合は識別番号は付与されていません。

この場合は「【識別番号】」の欄は不要です。

一度でも特許、実用新案、意匠、商標について出願したことがあれば、特許庁から識別番号が記されたハガキが届いているはずです。

識別番号が付与されている方は「【識別番号】」の欄に識別番号を記載します。

【識別番号】を記載すると、出願人の【住所又は居所】の欄が不要になります。

【商標登録出願人】の欄が【識別番号】と【氏名又は名称】の欄だけで出願することは可能なのですが、願書に不備があるとして手続補正指令書が届く場合があります。

手続補正指令書に対応しないと商標登録出願自体が却下されてしまいますので、手続補正指令書に従って手続補正書を提出してください。

【住所又は居所】(必須)

識別番号が付与されていない場合は記載が必要です。

出願人が個人の場合は住民票に記載されている表記の住所を記載します。

出願人が法人の場合は登記簿に記載されている表記の住所を記載します。

識別番号を記載した場合は【住所又は居所】の欄を省略できます。

【氏名又は名称】(必須)

出願人が個人の場合は個人の氏名を記載します。

出願人が法人の場合は登記簿に記載されている会社名を記載します。

出願人が法人の場合は【氏名又は名称】の欄の下に【代表者】の氏名も記載します。

代表者の氏名は、個人の出願の場合は不要です。

【電話番号】、【ファクシミリ番号】(任意)

個人で出願する場合は、なるべく電話番号を書いたほうが良いです。

願書に不備等があると、特許庁の方式審査官などから電話が掛かってくるからです。

【提出物件の目録】(任意)

「商標の使用を開始する意思」の書面や「事業予定」の書面を出願と同時に提出する場合に必要です。

【物件名】には「商標の使用を開始する意思 1」や「事業予定 1」と記載します。

【STEP5】願書を特許庁に提出しよう

願書の提出方法は4つある

・郵送
・持ち込み
・インターネット出願
・知財総合支援窓口

この中で圧倒的に簡単な方法は【郵送】です。

一見、インターネット出願が簡単そうですが、インターネット出願のためのPCや通信設備、出願ソフトのインストール、電子証明書の準備(ざっくりと2万円前後)など、実は手間と費用が掛かります。

特許庁に願書を直接提出する「持ち込み」は、できる人が限られています。

以下では、最も簡単な「郵送」について説明します。

郵送のメリット・デメリット

郵送のメリットは、日本全国どの地域からでも出願できることです。

郵送のデメリットは、
・願書を紙に印刷すること
・手数料分の特許印紙を用意すること
・郵送料が掛かること
・電子化手数料が掛かること
です。

デメリットがたくさんあるように見えますが、手軽さと電子証明書が要らないというメリットのほうが遥かに大きいです。

願書を印刷しよう

インキがにじまず文字が透き通らないA4版(縦長)の白紙に印刷します。

ワードファイルに必要事項をタイプしたあとに印刷しても良いですし、様式を印刷した後に手書きすることも可能です。

手書きの際には、文字は黒色で明瞭にかつ容易に消すことができないようにします。

出願料分の特許印紙を買ってこよう

特許印紙は、全国の集配可能な郵便局で売っています。

「特許印紙を〇〇円分ください」と言って買いましょう。

出願料=3,400円+区分数×8,600円

出願する区分の数に応じた特許印紙を用意し、願書の左上に貼り付けます。

ジメツ

ちなみに、弁理士試験の願書にも受験料分の特許印紙を貼ります。

願書を封筒に入れて下記の郵送先に送りましょう。

出願と同時に「商標の使用を開始する意思」の書面や「事業予定」の書面を提出する場合はこれらの書面も封筒に入れます。

願書の郵送先

〒100-8915
東京都千代田区霞が関3丁目4番3号 特許庁長官 宛

宛名面(表面)の余白に「商標登録願 在中」と記載します。
できるだけ書留・簡易書留 郵便・特定記録郵便で提出します。


郵送する出願関係書類について、特許庁が受領したことを確認したい方は返信用切手を貼付して差出人住所・氏名を記載した封筒又はハガキを同封します。

特許庁で受付スタンプを押して返送してくれます。

封筒の場合には返信用控としての書面のコピーを同封し、ハガキには書類名と郵送日を記載します。

さあ、出願を完了させましょう!

審査の結果が出るまで、6ヶ月〜14ヶ月待ちます。

持ち込みの場合も特許印紙が必要です。
持ち込みの場合は特許庁内で特許印紙を購入することができますので、予め用意しておかなくてもOKです。

電子化手数料を納付しよう

願書を書面(紙)で提出した場合、出願日から数週間後に工業所有権電子情報化センターから払込用紙が届きます。

振込用紙は、電子化手数料を納付するためのものです。

電子化手数料=2,400円+(800円×書面のページ数)

例えば願書が1ページでしたら3,200円になります。

電子化手数料の納付を忘れると、出願自体が無効になります。忘れずに納付しましょう。

【STEP6】登録料を納付して商標登録を完了させよう

出願後、忘れた頃に突然朗報が届きます。

登録査定の通知です。

ジメツ

審査に合格したってことです!

しかしこれで商標登録が終わったわけではありません。

登録料の納付と商標登録料納付書が必要です。

期日までに登録料を納付し、商標登録料納付書を提出しましょう。

後日、商標登録証が郵送されてきます。(商標登録証は2024年4月1日から電子化されます)

本ページではJ-PlatPatによる検索例を示していますが、これらの検索結果は検索時点のものです。
今後、同じ検索をしたとしても、同じ検索ヒット件数や同じ検索内容が表示されるとは限りません。
あくまでも検索の例としてご参考になさってください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

「個人での商標登録のやり方」を説明しました。

自分で商標登録できそうでしょうか。

商標登録を自分でやり遂げようとするあなたの一助になれば幸いです。

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