特許庁の審査に合格し、登録料を支払うと、商標権が発生します。
せっかく取った権利ですが、一体いつまで権利が続くのでしょうか。
また、権利期間に限界はあるのでしょうか。
この記事を読めば、商標権の権利期間についての理解が深まります。
それでは最後までお読みくださいね。
商標権の存続期間
商標権については、長年商標に蓄積された信用を保護するためにはそもそも存続期間を設定する必要がありません。
しかし、商標が使用されなくなっても商標権の存続期間が続くとなると、使用されない商標が大量に残ってしまいます。
そこで、法律では、存続期間を一定期間に区切っています。
商標権の存続期間は2種類ある
日本では、商標権の存続期間として「5年間」または「10年間」のどちらかを選択することができます。

昔は『10年間』の一択でした
長らく商標権の存続期間は「10年」でしたが、平成8年から登録料を「前半5年分」と「後半5年分」とに分割納付することが可能になりました。
登録料の前半5年分を支払った場合、約5年後に登録料の後半分を支払うかどうかを選択できるようになったのです。
なお、日本が加盟している商標の国際条約(マドリッド協定議定書や商標法条約)では商標の存続期間は10年の一択となっています。
商標権の存続期間はいつからいつまで?
商標権の存続期間は、「設定の登録の日」から始まります。
設定の登録は、特許庁において、登録査定後に出願人が登録料を支払った後に行われます。
商標権の存続期間は、「存続期間満了日」までです。
たとえば、10年分の登録料を納付して設定の登録の日が「2023年6月22日」の場合、存続期間満了の日は「2033年6月22日」です。


あれ? 自分の商標権の「設定の登録の日」と「存続期間満了日」がわからない・・・となっても大丈夫です。
J-PlatPatで自分の登録商標を調べてみると日にちが記載されています。
存続期間の違いは登録料の違い
10年分の商標登録料は「区分数×32,900円」です。
5年分の分納額は、前期分と後期分で共通していて、「区分数×17,200円」です。
分納の場合、前期分と後期分の両方を支払うと10年間で「区分数×34,400円」になります。



分納のほうが10年分で見るとほんの少し高いです
商標権の維持は5年間だけ!と割り切ると、登録料に割安感が出ます。
存続期間の更新制度
商標は、特許、実用新案、意匠と異なり、権利の更新ができます。
適切に更新手続きを行えば、権利の期限切れを起こしません。
更新回数
存続期間は何回でも更新できます。
更新の回数には制限はありません。
注意点は、5年間と10年間の組み合わせです。
分納の5年間は前半分と後半分が必ずセットになります。
前半5年分を納付した後に商標を長期間使いそうだとわかっても、後半5年分を払う前に10年分で更新することはできないです。
更新費用
10年分の更新登録申請料は「区分数×43,600円」です。
5年分の更新の分納額は、前期分と後期分で共通していて、「区分数×22,800円」です。
分納の場合、前期分と後期分の両方を支払うと10年間で「区分数×45,600円」になります。



更新手数料は最初の登録料よりも高いです
今も権利が続いている最古の商標
J-PlatPatで検索可能であり、現在も権利が存続している最も古い商標は、九重味淋株式会社のココノエ(称呼)と書かれた図形商標(商標登録第0000521号)です。
出願日は明治23(1890)年7月31日、登録日は明治43(1910)年8月24日となっています。


明治初期に高橋是清が中心となって制定された「商標条例」に基づく権利です。
その後は逐次改正が行われ、昭和34年に制定された現行の商標法が施行された後も権利として残っています。
まさに歴史の生き証人のような商標です。


最後の更新手続きは2020年11月17日です。
存続期間満了日は令和12(2030)年12月26日となっています。



つまり、権利は最低120年間続きます。
企業の10年生存率は6.3%と言われています。
一方で、日本には創業200年以上続く会社が3,146社あると言われています。(2023年10月現在)
最初の登録時に登録料を10年分支払い、約10年後に更新することができれば、商売は順調です!


その後、権利の更新をし続けることができるとしたらならば、商標権の存続期間は300年以上続いても不思議ではありません。
まだ誰も達成したことがないロマンです。
もしかしたら、あなたが生み出した商標が300年以上生き続けるかもしれない。
・商標権の存続期間は5年と10年の2種類ある。
・商標権の存続期間は、設定の登録の日から存続期間満了日までの5年間または10年間である。
・登録料は5年分を2回に分けて支払う方が、10年分を一括で支払うよりもほんの少し割高である。
・商標権の存続期間は決められた期間に更新手続きを行うことで権利期間を延長させることができる。
・商標の更新は何回でもできる。
・更新費用は登録費用よりも高い。
・今も権利が続いている最古の商標の権利期間は110年以上。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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