こんにちは、ジメツです。
商標はとにかく早い者勝ち!というのをよく耳にします。
早いは早いでも「何」が早ければ勝ちなのでしょうか。
この記事では、商標は早いもの勝ちの「何が」と「なぜ」を詳しく解説します。
また、誰かと同じ日に出願してしまった場合の権利者の決め方についてもご紹介いたします。
とにかく「何」が早ければ勝ち?
早いは早いでも「商標を先に使い始めた人(会社)」が優先されるのでしょうか?
それとも「先に商標出願した人(会社)」が優先されるのでしょうか?
答えは「先に商標出願した人(会社)」です。
誰が一番早く商標を使用していたかは商標登録には影響しません。
つまり、いち早く出願して審査に合格し、商標登録を済ませ、商標権を獲得した者が「勝ち」です。
商標権を獲得すれば、他人の商標権を侵害することなく、自分の商標を日本国内で独占的に使用することができます!
なぜ出願日が早いものが勝ち?
日本の商標法は先願主義を採用しています。
先願主義とは、同一または類似の商標の出願があった場合、いち早く商標を出願した者だけに商標権を与えるという制度です。
商標が有名になっていたとしても、特許庁に出願申請していなければ、商標権者にはなれません。
つまり、とにかく早ければいいのが商標出願の「出願日」です。
日本国内で商標権を取得したい方は、使い始めるよりもまず出願申請を済ませましょう。
ちなみに海外はというと
日本以外で先願主義を採用している国は、イギリス、EU、中国、韓国、インド、オーストラリア、メキシコ、ブラジルなど多数です。
アメリカは先使用主義を採用しています。
先使用主義とは、同一または類似の商標について同じ日に出願された場合、いち早く商標の使用を開始した者だけに商標権を与えるという制度です。
原則、商標の使用を開始していなければ登録を受けることができません。
出願自体ができないわけではなく、将来使用する意思があれば出願はできます。
出願日はどうやって決まる?
出願日は願書等の書類の提出方法によって違ってきます。
書類の提出方法は、おおまかに以下の3つです。
以下、順番に見てきましょう。
特許庁に直接提出する場合(持ち込み)
特許庁の受付窓口へ願書を直接持参する場合、特許庁1階の出願受付窓口へ提出します。
特許庁に直接提出する場合の「出願日」は、願書等の書類が窓口で受領された日になります。
特許庁で願書を受け付けできる日時は決まっており、開庁日(平日)の9時から17時までです。
土曜日、日曜日、祝日、年末年始(12月29日から翌年の1月3日まで)は閉庁のため、特許庁に直接提出することはできません。
持ち込みで「令和〇〇年1月1日」という出願日はあり得ないってことです。
年末年始で東京に行くついでに願書を特許庁に直接提出することはできません。ご注意ください。
インターネット出願の場合
インターネット出願は、365日24時間いつでも出願できます。
インターネット出願の場合の「出願日」は、パソコンで出願処理した日になります。
23時59分59秒999・・・までは今日です!
インターネット出願で「令和〇〇年1月1日」という出願日は可能です。
ただ、インターネット出願できる環境を持っているのは、特許事務所や、出願を多数行う会社などです。
電子証明書が必要ですので、個人がたった一つの出願のためにインターネット出願の環境を用意するのはコスパが悪すぎます。
郵送の場合
一般郵便や、簡易書留・レターパックなどの信書として提出する場合は、日にちが明確であるかどうかがポイントです。
原則、一般郵便は消印日、信書は郵便局への提出日が出願日になります。
郵送で「令和〇〇年1月1日」という出願日は不可能ではないですが、元日は家でゆっくりしていたいものです。
ただし、一般郵便の場合は注意が必要です。
消印の日付が消えていたり見にくくなっているなどで発送日を特定できない場合、郵便が特許庁に到達した日が出願日になります。
つまり、出願日が数日遅れます。
これが命取りにならなければよいのですが・・・。
大事な書類は提出日が明確な信書で提出したいところです。
書類に不備があるとどうなる?
願書に不備があると、出願日が認定されません。
この場合は「補完命令」が出されます。
補完命令に対する応答期間は1ヶ月です。
応答期間は、お金を払うと延長できます。
1ヶ月の期間延長を請求する場合の手数料は2,100円です。
書類の不備を解消するためには、「手続補完書」を提出しなければなりません。
手続補完書の提出の際には特許庁にお金を払う必要はありません。
しかし、補完命令の指定期間内に補完をしたときは、手続補完書を提出した日が出願日として認定されてしまいます。
つまり、出願日が繰り下がってしまいます。
これが命取りにならなければよいのですが・・・。(2回目⁉︎)
他人と同じ日に出願してしまった!
誰よりも早く特許庁に出願申請した、と思っていても、他人と全く同じ日に出願してしまうケースはあります。
同一または類似の商標が、出願日が意外と被ってしまうんです。
その場合はどうなるのでしょうか。
まずは協議命令。それでも決まらなかったら・・・
他人と同じ日に出願してしまった場合、特許庁から「権利者を誰か一人に決めなさい」という協議命令が全員に届きます。
協議によって誰か一人(あるいは複数人で権利を持つ)に決まれば良いのですが、決まらなかった場合は【抽選】になります。
特許などは誰か一人に決まらなかったら誰も権利が取れないのですが、商標は誰か一人が権利を独占できてしまうのです。
でもどのようにして一人に決めるのだろう?
権利者の決め方
抽選(くじ引き)を行います。
抽選に出席可能な場合は抽選会場に行きます。
出願が競合した相手に直接会います。
なお、出願人によっては、代理人のみが出席したり、欠席の場合は特許庁の職員が代理をしたりします。
抽選のやり方
抽選(くじ引き)は、ガラガラ抽選器を使います。
ガラガラ抽選器を回す前に、まずは持ち玉の色を決めます。
じゃんけんの時から運が試されています。
じゃんけんの順位は何番目か、2個のさいころの合計値はいくつか、玉の色はどれか。
商標が会社名ともなれば変更するのも大変ですから、是が非でも当選しなければなりません。
とてつもないプレッシャーです。
玉がガラガラ抽選器に投入された後、特許庁の職員がガラガラ抽選器を回します。
出た色の玉の順番で審査されることになります。
自分が当事者だったとしたら、プロ野球のドラフト会議のくじ引きをお茶の間で観るような余裕などありません。
自分の持ち玉が最初に出ることを祈るしかありません。
抽選後
1番目の玉の色の出願に他の拒絶理由がなければ1番目の玉の色の出願が(後日)登録査定となります。
結局のところ、他人と同日出願だったとしても抽選で1番を決めることになり、1番だけが商標登録できます。
こんなのが毎年5件〜10件ほど実施されているんです!
驚きですね〜。
2番目以降は拒絶査定となります。
やはり2番じゃダメなんです。
商標権が欲しかったら、1日でも早く出願申請を済ませるしかありません。
・日本では商標は「出願日」が一番早い者が勝ち。
・日本は先願主義を採用しているので、先に商標を使用していても権利者にはなれない。
・出願日は、書類を特許庁に直接提出する場合は提出日、インターネット出願の場合は出願処理日、一般郵便の場合は原則消印日、信書の場合は郵便局への提出日となる。
・他人(他社)と出願日が同じだった場合、協議して権利者を一人に決める。
・協議不調の場合はガラガラ抽選器で1番を決め、1番に権利取得のチャンスがある。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント